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てげてげブログ
2010-02-24

141)解雇 2010.2.24

  福岡地方裁判所で労働審判員を仰せつかっています。労働審判制度というのは4年前に始まった制度です。裁判官1名と民間人2名で構成される審判委員会で、個別の労使紛争の早期解決を図ります。本裁判に比べて、手軽であること、短期に解決出来るところが長所です。この制度の良さが一般に知られてきたせいでしょうか、訴えられる案件が急増しています。私が担当した事件だけでも、平成18年度が3件、19年度が4件、20年度が8件、21年度がまだ1ヶ月を残して13件です。(民間の審判員が30名いますので、福岡地裁全体としては、ほぼこの15倍の件数を受理している計算になります。)

  必然的に裁判所に出かける頻度が多くなります。一昨日も、昨日も裁判所でした。一昨日の案件は1回だけの審判で、昨日の案件は3回目の審判でそれぞれ調停が成立しました。調停が成立せず、物別れに終った場合は、自動的に本裁判に移行します。従って審判員としては、双方納得して無事に調停が成立したらほっとしますし、それは審判員の喜びでもあります。

  景気の低迷による影響か、最近は企業の経営状態の悪化に伴う整理解雇事件が増えました。解雇というのは、労働者にとっては死活問題ですから、厳しい条件が課されています。この条件を満たさない解雇は不当解雇ということで法律上は無効になります。
  しかし不当解雇だからといって、すんなり会社に復帰出来るかというとなかなかそうはいきません。企業としては一度解雇した従業員を、出来れば受け入れたくないでしょう。一方で訴えた労働者の方でも復帰を希望しない場合がほとんどです。あんな社長の会社には戻りたくないとか、会社との間にしこりが残って無事に働けそうもないとか、色々な事情があるのでしょう。特に従業員の少ない中小企業の場合には、裁判所で争った相手と毎日顔を合わせながら働くということに抵抗が大きいようです。
  結局は金銭解決というケースが多くならざるをえません。そういう意味でこの制度は、労働者の職を直接守るという役割はあまり果たしていないのかもしれません。しかし無茶な経営者の仕打ちに対して、労働者が泣き寝入りしなくてもいい、手軽な道筋が出来たという意味で、幾分の抑止力にはなっているだろうと思います。
  

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