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てげてげブログ
2016-08-31

980) カエルの楽園



凶悪なダルマガエルに国を荒らされ、安住の地を求めて60匹のアマガエルが国を捨てて旅に出る。過酷な長旅の過程でヘビやイワナやイタチなどの天敵に襲われ、同じカエルであっても体の大きなアカガエルなどから食用として食べられてしまう。わずかに残った2匹のアマガエルがほうほうの体で辿り着いたのがツチガエルの国「ナパージュ」だった。


ナパージュは平和で争いもなく、皆が優しく、豊かであり、まさしく2匹がこれまで探し求めてきた「平和の楽園」だった。なぜこんなにもナパージュは平和なのか、2匹は疑問に思い、見聞を広めてゆく。


この国には国民が共有する「三戒」(①カエルを信じろ、②カエルと争うな、③争うための力を持つな)という教えがあることをまず知る。ナパージュに暮らす多くのツチガエルたちは三戒の教えを有難がって守り、そのおかげでナパージュが平和だと信じて疑わない。


ところで南の崖の下にはウシガエルが住む沼がある。そのウシガエルが崖を登って姿を表すという事件をきっかけに、三戒を唱えるだけで国を守れるのかという論争が巻き起こる。しかしツチガエルたちはあくまでも三戒を守る道を選ぶ。そして・・・・・


百田尚樹氏の小説(新潮社刊)であり、カエルの国になぞらえた寓話である。この小説に対しては激しい賛否や好き嫌いがあるだろうと思う。しかし好き嫌いを別にして、日本の国や国民性や領土、国防、安全保障、平和や憲法といった問題を考えるきっかけとして一度読んでみる価値はあるだろうと思う。非常に平易で読み易い文章でもある。(2016.08.31)

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