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てげてげブログ
2015-08-12

782) 車椅子

電車が停まる。車両の外では駅員さんが車椅子を押して待っている。客車の出入り口にスロープ用の板を設置する。車椅子を押して車内に入れる。待ち構えた車内の車掌さんが車椅子を受け取る。所定の場所に据える。

目的の駅に着く。車両の外に駅員さんが待ち構えている。ドアが開くと同時にスロープ用の板を設置する。車内の車掌さんが外の駅員さんに車椅子を渡す。受け取った駅員さんは車椅子を押して改札口に通じるエレベーターに向かう。

電車が停車している短時間のうちに、これらのことが流れるように進められる。駅間の連絡、連携も必要だろう。見事なものだ。身障者に対するこんな配慮はいつごろから始まったのだろうか。


同じような風景はバスの中でも時々見かける。バスの場合は運転手さんの独り舞台だ。車椅子がバス停で待っている。車椅子の人はバス会社に、事前に乗降場所や乗車時刻などを連絡しておくのだろうか。バスが停まる。後部ドアが開く。運転手さんが運転席からおりて後部ドアに駆けてくる。ステップの下部からスロープを引っ張り出す。車椅子を押して車内に入る。所定の場所に車椅子を固定する。急ぎ運転席に戻る。

目的のバス停に着いたらまた運転手さんの独り舞台だ。車椅子を歩道に降ろして車椅子とのお別れとなる。


つい先日乗ったバスでのこと。後部ドア近くの席に座ったのでその風景がよく見えた。手際の良い運転手さんの動きに見惚れていた。そして最後にアレッと思った。車椅子の人が運転手さんに対してお礼の言葉を一言も発しなかったのだ。さもそれが当然であるかのように。言葉が聞こえなかっただけかもしれない。しかし動作からも雰囲気からもそれを感じなかった。

権利として当然のことで、お礼など必要ないのかもしれない。しかし「ありがとう」の一言があったなら、どんなにか本人自身も、運転手さんも、そして周囲の者も気持ちいいだろうなあ、と思うことだった。(2015.08.12)

     画像:頓田貯水池・グリーンパーク


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