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てげてげブログ
2014-04-02

572) 中村さんの思い出

  午前中は葬儀に参列してきた。故人は中村孝さん、享年81歳。私が安川電機の小倉工場に勤務していた時代にお世話になった先輩である。誠実そのもの、責任感が強く、誰に対しても穏やかで優しい人柄だった。労を惜しまず率先垂範するから周囲のみんなもついていかざるをえないという、そんな人でもあった。

  小倉工場時代の私は総務係長や管理課長、中村さんは製造課長を務めていた。よく一緒に飲みにいった。そんな機会に私はたびたび難題を頼み込んだものだった。その殆ど全てを彼は嫌がりもせずに引き受けてくれた。

  組合問題でいつも揉めている職場があった。その職場の課長に異動してもらった。ほどなく見違えるようにまとまりの良い和やかな職場を作り上げてもらった。

  職人気質の専門職が多い鋳物工場は何かと揉め事の多い職場だった。それではというので中村さんに工場長を引き受けてもらった。彼が就任するや揉め事はピタリと収まった。

  小倉工場の一部を分離して、飯塚の地に分工場をつくることになった。通常の製造管理職の仕事に加えて難しい地域対策や公害対策もしなければならない。その上新規の工場には想定外の何が待っているかわからない。その初代工場長を務められるのは中村さんしかいないと、私は勝手に決め込んでいた。
  夜も泊り込んで陣頭指揮する中村さんにみんなは就いていった。そして新工場はさしたるトラブルもなく立ち上がった。

  安川電機の有力な協力会社の社長を最後に中村さんは定年退職された。たまたまその時期に安川ビジネススタッフが、親会社の要請もあって製造請負の事業を始めることになった。会社には製造の管理を知る者がいない。
  社長まで務めあげて、これから悠々自適という中村さんに私は力を借りにいった。馬鹿にするな、と怒られるのも覚悟していたが、中村さんは気持ちよく引き受けてくれた。

  次から次に、思い出は尽きない。中村さんは会社の中だけでなく、家庭でも同じような生き方をしていたらしい。
  それが今日もらった『お礼の言葉』という奥様からの礼状に表れていた。転記しておきたい。
               ★   ★   ★
眠るように安らかな旅立ちでした。
亡夫 中村 孝(享年81歳)儀 葬儀に際しましてはご多用中にも拘わらず御会葬賜りまして誠にありがとうございます
夫は戸畑で生まれ私たち家族は子供にも恵まれました
努力家で世話好きな夫はたくさんの皆様と楽しい時を過ごさせていただきました
趣味のゴルフやビデオ撮影に熱中する姿が今も目に浮かびます
長い間家族を大きな愛情で包んでくれた夫に「ありがとう」と心から感謝の詞を贈りたいと思います
生前夫が大変お世話になりました事をこの場をお借りし心よりお礼申し上げます
本日は誠にありがとうございました         (2014.04.02)

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